アニメ会社「リテイクが直らなかったら50%減額」 その発注書大丈夫? アニメ会社、日本動画協会、JAniCAに聞いた
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/spv/1901/26/news010.html
2018年11月、あるアニメ制作会社(以下、A社)の、アニメーターへの発注書がTwitterに投稿され注目を集めました。
そこに書かれていたのは、「(原画が)リテイクを経ても評価が変わらない場合、発注時提示価格から-50%の支払い」「納期超過した場合 48時間経過で-5% 以後24時間ごとに5%ずつ減額し、累積で25%まで減額」など、クオリティーや締め切りに対する厳格な内容でした。
納品物のクオリティーや、納期超過へのペナルティーについてこれほど厳密に定めた発注書は珍しいため、ねとらぼ編集部ではその意図や効果についてA社に取材を申し込みました。
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合わせて、「下請法上問題はないのか?」という疑問もあったため、その適法性について、アニメ制作等に詳しいB弁護士、業界団体の日本動画協会と日本アニメーター・演出協会(JAniCA)にそれぞれの見解を聞きました。
結論からいうと、「下請法違反とは断定できない」「ただし一考の余地あり」というのが実際のところのようです。
そもそも資本金1000万円以下の会社に下請法が適用されない
ツイートでは当該アニメ制作会社の社名は明かされていませんでしたが、取材を進めていく中でA社だと判明。公式サイトの情報によると、同社は資本金が1000万円以下であることが判明しました。
下請法は資本金が1000万円を超える法人企業に適用されるものなので、この時点で「下請法には抵触しない」ことが確定します。
しかし公正取引委員会は「下請法の対象とならない取引であっても、独占禁止法上の優越的地位の濫用(らんよう)に当たる行為に対しては、厳正かつ効果的に対処してまいります」とも表明しています。
以下の取材では、A社の発注書は「独占禁止法上の優越的地位の濫用」に当たるのか? と、資本金が1000万円を超える会社が同様の発注書を使用した場合に問題はないのか? について各所に取材しています。
A社「下請法違反ではない」
A社に質問状を送ったところ、次の回答がありました。
ねとらぼ:発注書に対して「下請法違反」あるいは「独占禁止法上の優越的地位の濫用」に当たるのではないか? という意見がありますが、こちらについてどうお考えでしょうか。
A社:お問合せの件、下請法における下請代金の減額(4条1項3号)に該当するのではとのご趣旨と理解いたします。この点、下請代金の減額が禁止されるのは、条文上「下請事業者の責に帰すべき理由がない」場合とされております。
本件では、下請事業者が納期遅延を起こす場合であり、顧客に対する納期厳守が求められている現場において、それにより下請事業者による給付の価値が低下することは明らかですので、
減額は可能であり、また減額の割合も客観的に相当といえます。従いまして、ご指摘は当たらないと考えます。