鶏卵価格が年明けから15年ぶりの安値となり、養鶏業者の経営を圧迫している。供給過多で需要が追い付いていない。
飼料高も重なり、生産者からは価格低迷はいつまで続くのかとの悲痛な声が上がる。国と生産者で拠出する経営安定事業は、
資金が枯渇する恐れがあり、生産者の不安は増すばかりだ。(鈴木薫子)

15年ぶりキロ100円

 全国有数の鶏卵生産量を誇る茨城県。同県養鶏協会は1月中旬、新年の会合を開いた。話題は低迷する相場に集中した。
出席者からは「価格下落の打撃は大きく、経営は赤字だ」と危機感を訴える声が続出した。
毎年、新年の会合では商売繁盛の祈願祭を行う。今年は思いが強い。「価格がどうか上向きますように」。
深々と頭を下げた。状況改善の糸口は見えない。

 鶏卵の指標となるJA全農たまごの今年の初取引は、M級(東京)が1キロ100円と2004年以来の安値となった。
現在は130円と、持ち直しているが、それでも前年を2割下回る。

 背景には潤沢な生産量がある。15年の高値を受け、大規模経営体を中心に増産に転じた。日本種鶏孵卵(ふらん)協会
によると18年1〜11月の採卵用ひな餌付け羽数は前年同期比で385万羽(4%)増。生産量換算では、1日当たり192トン増えることになる。

 全農たまごは「底の見えない相場下落の可能性」と懸念し、生産者に対し、1月中旬に計画生産を要請した。

 生産者には、価格低迷に加え、飼料高も重なる二重苦となっている。配合飼料価格は昨年から上昇傾向にあり、
2年前に比べ、1割ほど高い。同協会の会長で、水戸市で40万羽を飼育する鈴木憲一さん(67)は「販売価格に占める
飼料費を5割に抑えたいが、現在は8割に膨らんでいる。これでは利益が残らない」と漏らす。

 県内の大規模経営体は、成鶏処理後の鶏舎の空舎期間を通常より長く設け、自主的に生産調整に取り組む。
だが、「処理作業が殺到し、廃鶏処理業者が対応しきれていない」(県養鶏協会)。課題は多い。

小売りは伸び悩み

 卸売価格の下落は小売価格へも転嫁されてきたが、暖冬の影響も加わり鍋物需要が不調など、販売は伸び悩む。

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