<習近平は、台湾の武力統一も辞さずと軍に「戦闘準備」の号令をかけたが>

中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は1月4日の中央軍事委員会で、人民解放軍に対し軍事闘争への準備を命じた。
一方で台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は、中国からの統一圧力が高まる中、台湾の民主主義を守るため国際社会の支援を呼びかけた。

サウスチャイナ・モーニングポストによれば習は全軍に対し、「国の安全保障と発展の大勢を正確に理解し、予測できない苦難や危機、
戦いに対する意識を高めなければならない」と述べたという。

「(中国は)新たな出発点から軍の総合的な闘いに備えなければならない......非常時における効果的な対応を確実にするため、
戦争と戦闘への備えを深めなければならない」と習は述べた。

習は2日にも台湾政策に関する演説を行い、台湾は中国の一部であると断言するとともに、中台統一を進めようと台湾に呼びかけた。
また、中国には台湾を支配下に置くための武力行使の権利があるとの立場を改めて示した。

(中略)

中国政府の指導者たちは建国以来約70年にわたり、台湾の統一を将来達成すべき課題として扱ってきた。
だが台湾政府は中国共産党の支配下に入ることにまったく関心を示していない。

2016年に独立志向の民進党から出馬した蔡が総統選挙で当選して以来、中国の台湾に対する敵対的な姿勢は強まっている。
中国はこれまで、中台統一のための武力行使を放棄したことは一度もない。

台湾周辺での中国の軍事演習により武力行使への懸念は高まっている。だがロンドン大学東洋アフリカ学院中国研究所の
スティーブ・ツァン所長は本誌に対し、アメリカの介入を避けるためにトランプ政権との交渉が行われない限り、
人民解放軍が台湾に軍事攻撃を仕掛けることはないだろうと述べた。

「あと5年ぐらいは、(アメリカの反対を押し切ってまで)台湾に武力行使する力は中国にはないだろう。
もしやれば、侵略の過程で前線と先進的な装備、軍隊の大半を失いかねない」
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/01/post-11504.php