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実際に時代遅れかどうかはともかく
時代遅れと憲法違反は関係ある

 さて、ここで最高裁は、従来合憲と解してきた規定を違憲としたわけであるから、みずからの憲法解釈を変更したとい
える。もっとも、今回の決定で、最高裁は、違憲判断の根拠として、「婚姻、家族の形態が著しく多様化しており、これに
伴い、婚姻、家族の在り方に対する国民の意識の多様化が大きく進んでいる」ことや、1998年にドイツで、2001年にはフ
ランスでも、嫡出子と非嫡出子の相続差別を撤廃する立法措置がとられ「現在、我が国以外で嫡出子と嫡出でない子の
相続分に差異を設けている国は、欧米諸国にはなく、世界的にも限られた状況にある」といった諸外国の動向、等々の、
社会的・政治的な諸事情の変化ということを挙げ、そうした諸事情の変化によって「本件規定は、遅くとも(本件相続が開
始した)平成13年(2001年)7月当時においては憲法14条1項に違反していた」とする論法をとった。したがって、最高裁は、
今回の決定は本件規定を合憲とした1995年の大法廷決定(ならびに、それに続く各小法廷での合憲決定)を変更するも
のではない、と言っている。しかし、これは、95年の合憲決定が間違いだったと言いたくないがための「方便」のようなもの
であり(間違いだったということになれば、いったん確定して決着した相続争いが蒸し返され、大きな混乱を招く恐れがある)、
実質は95年決定の変更である。そういう意味で、ここで最高裁は、憲法解釈を変更したといえるのである。
https://www.jicl.jp/old/urabe/backnumber/20130923.html