沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府が12月中旬の埋め立て土砂投入を検討していることが28日、分かった。
土砂を搬出予定の本部港塩川地区は台風被害から使用が許可されず、引き続き使用を申請すると同時に名護市内の別の民間施設からの搬出も模索する。

一方、県は県土の乱開発防止を目的とした「県土保全条例」を改正し、規制対象に国の工事も含めることで、新基地建設をけん制する案を検討している。

玉城デニー知事は28日に首相官邸で安倍晋三首相と会談。新基地建設断念を求める県に対し、政府は現行計画を進める考えを改めて表明した。
会談は9日からの県と国の集中協議の最終回に位置付けられたが、議論が平行線のまま物別れに終わり、政府は土砂投入へ踏み切る。

玉城知事は28日夜、政府の土砂投入方針について「具体的な話は聞いていないが、やればやるほど県民の反発を買うのは間違いない」と語った。

辺野古では、県の埋め立て承認撤回を国土交通相が執行停止したことを受け1日から作業が再開し、護岸で囲まれた広さ6・3ヘクタールの区域への土砂投入の準備が進んでいる。

沖縄防衛局は土砂を海上から運ぶため本部港からの搬出を本部町に求めているが、町は台風被害を受けているため新たな船を受け入れられないと、使用を認めない方針。
防衛局は被害を受けていない岸壁の使用を認めるよう求め、内容証明で申請書を送付するなど調整を続けている。

政府は本部港の使用が認められない場合は、名護市にある民間の港から搬出する案も検討。
工事手順を記載した国の申請書には特定の港の名称は明記していないため、県への申請内容とは矛盾しないとの考えだ。

一方、県は県土保全条例の改正を対抗策の一つとして検討。
条例改正案は3年前の2015年に翁長雄志前知事の県政与党内でも浮上していた。
県土が無秩序に開発されることを防ぐ目的で制定され、面積3千平方メートル以上の開発には知事の許可が必要と規定する。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/351797