映画『トータル・リコール』では、全く別の記憶を植えつける技術が描かれているが、現実の世界でも“記憶の操作”が実現しつつあるという。
英紙「Daily Mail」(11月11日付)によると、英オックスフォード大学の研究者らが、過去の辛い記憶をハッピーな記憶と置き換える技術を開発しているという。
記憶を司っている脳の箇所に電流を流すことでトラウマを取り除き、“記憶の義肢”ともいうべき偽りの記憶さえ植えつけることが可能になるそうだ。
「記憶移植は現実のものであり、大きな期待がもてるものです」(パイクロフト氏)
そう語るのは研究チームのローリー・パイクロフト氏だ。同氏によると、アイデアの源泉となっているのは、1990年の映画『トータル・リコール』そのものだという。
アーノルド・シュワルツェネッガー演じる主人公のダグラス・クエイドは、「秘密諜報員として火星を旅する記憶」を植えつけられ、現実との見分けがつかなくなっていくが、このようなSFは科学的に実現できるそうだ。
「記憶移植はフィクションのように聞こえますが、厳密な科学に基づいています。その基礎は今日すでに存在しているのです。実現は時間の問題でしょう」(パイクロフト氏)
実際にオックスフォード大の神経外科では、心臓のペースメーカーに似た神経刺激装置をパーキンソン病患者の脳に埋め込み、視床下核に微量の電波を流すことで、
筋肉の固まりや震え、動きの緩慢化を緩和することに成功しているという。
(中略)
2016年には“神経科学界のノーベル賞”とも言われるほど名誉のある「Brain Prize」を受賞したティム・ブリス教授は、
「マリリン・モンローと一夜を過ごした記憶を植え込むことができる」と豪語しているが、パイクロフト氏によると、
「10年後には記憶の消去から記憶の移植までセットで可能になる」というから驚きだ。記憶移植の実現はまさに時間の問題だ。
今後の研究の進展に一層期待したい。
https://tocana.jp/2018/11/post_18735_entry.html