トランプ米政権は2日、石油取引規制を含む対イラン制裁が5日に復活することに関し、イラン産原油の禁輸措置から
日本を適用除外とする方針を固めた。日米関係筋が明らかにした。米ブルームバーグ通信によると、適用除外となるのは
日本やインド、韓国など8カ国。米政府はイランの収入源を断つことを狙うが、友好国や原油市場への影響を考慮したとみられる。

日本政府は原油調達が滞る事態を警戒して禁輸の適用除外を要請していた。ブルームバーグによると、主要輸入国である
中国は米国と条件を協議しているが、対象8カ国に含まれるという。適用除外は一時的なもので、引き続きイラン産原油の
輸入を減らすよう求めていく方針としている。

日本が適用除外になれば、JXTGエネルギーなど日本の石油元売り会社は一時輸入停止していたイラン産原油の輸入を再開する。
原油の安定供給のために調達先の多様化が不可欠で、イランとの良好な関係を維持する考えだ。

日本の石油は約9割を中東に依存。イランからの輸入量はロシアに次ぐ6番目で全体の5%を占める。
制裁でも代替調達で安定供給はできるが、「無資源国の日本では調達先の多様化が不可欠」(JXTG幹部)。
イランとの関係を維持するために適用除外になればイランとの取引を再開する考えを示していた。

これまでトランプ米政権は各国に対して、制裁の再発動までにイラン産原油の輸入をゼロにするよう要求していた。
イラン産原油を取引した企業には制裁を科す方針を示していた。

ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は10月31日、「友好国や同盟国を傷つけたくない」と述べ、
一部の国をイラン産原油の禁輸の適用除外とする可能性を示唆していた。各国が原油の代替調達を急いで価格が
高騰する事態を避けるためとみられる。

トランプ米政権は5月にイランの核開発を制限する国際的な枠組みから離脱を表明した。8月には自動車産業などを
対象にした制裁の一部を再開し、5日には石油部門を標的とした第2弾を発動する。米政府はイランが原油輸出で
稼いだ資金を核・ミサイル開発に充てているとみている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37301570S8A101C1MM8000/