数日前のこと。横を向いて寝ている背中に重みを感じた。2本の手がかぶさってきた。
「パパ、いい年して何を甘えているの」と思い、自分の手を重ねると確かな質感がある。
「毎日何をしているの」。そう尋ねると、考えている様子だったが答えない。私が寝返りを打つと、すっと気配が消えた。時計を見ると午前4時、夫が毎日起きていた時間だ。
公務員を60歳で退職した夫は、宅配便を仕分けする契約社員として働いていた。事務職から肉体労働へ。午…
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