錠剤を毎日1粒飲む「PrEP」がゲイのHIV感染リスクを劇的に減少させることが明らかに

AIDS(エイズ)を引き起こすヒト免疫不全ウイルス(HIV)が増殖するのを防ぐ抗ウイルス薬をあらかじめ体内に
備えておくことで、HIVを侵入時点でたたく「Pre-exposure prophylaxis(PrEP:暴露前予防法)」という治療法が
欧米で広まりつつあります。エイズ予防の「有効打」と期待されているPrEPについて、劇的な効果が現れているという
研究結果が発表されました。

Population-level effectiveness of rapid, targeted, high-coverage roll-out of HIV pre-exposure prophylaxis in men who have sex with men: the EPIC-NSW prospective cohort study - The Lancet HIV
https://www.thelancet.com/journals/lanhiv/article/PIIS2352-3018(18)30215-7

A Blue Pill Is Stopping HIV, World-First Study Shows - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-10-17/a-blue-pill-is-stopping-hiv-world-first-study-shows

PrEPでは、あらかじめ抗HIV薬を飲み続けておくことで、エイズなどのHIV感染症を引き起こすHIVが体内に侵入した時点で
増殖できないようにすることでHIV感染を防ぐという予防法です。代表的なPrEPは「ツルバダ配合錠」とよばれる錠剤を
1日に1回のみ続けることで、特に男性間での性行為によって発生するHIV感染を有効に予防できると考えられています。

https://i.gzn.jp/img/2018/10/22/prep-stop-hiv/a02_m.jpg

オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ大学のカービー研究所のアンドリュー・グリュリッヒ博士の研究チームが、
ニュー・サウス・ウェールズ州の同性愛者を対象にして、PrEPによってHIV感染者の発生率が減少するのかどうかを
統計的に調べました。今回の研究では、まずニュー・サウス・ウェールズ州の21の診療ネットワークを使って被験者になる
男性同性愛者を募集し、参加することに同意した約3700人のゲイやバイセクシャルの男性に「テノフォビルジソプロキシルフマレート」と
「エムトリシタビン」を配合した抗HIV薬錠剤を毎日飲んでもらうという実験(PrEP実験)が行われました。

12カ月後、ニュー・サウス・ウェールズ州の診療ネットワークの中で蓄積されたHIV感染に関するデータが分析されました。
HIV感染テストは1年間に4100人に対して行われ、2人のHIV感染者が検出されましたが、この2人はPrEP実験に
参加していない人でした。

そして、ニュー・サウス・ウェールズ州全体でのHIV感染者数を調べると、PrEPの効果を調べるために被験者にPrEP薬を
配布し始めた2016年からHIV感染者がはっきりと減少していることが確認されました。なお、2018年は、HIV感染者の
統計が取り始められた1985年以来で最低の感染率を記録したそうです。

https://i.gzn.jp/img/2018/10/22/prep-stop-hiv/a01_m.png

(略)

https://gigazine.net/news/20181022-prep-stop-hiv/