安倍晋三首相が来年10月の消費税率10%への引き上げを表明し、準備の本格化を指示した。
根強い増税先送りの臆測を打ち消し、遅れが指摘される民間事業者の準備を促す狙いがある。
ただ、国民に負担を強いるだけに、来年の統一地方選や参院選が近づけば、先送り論が再燃する可能性は否定できない。

 ◇亥年選挙
 首相には、来夏の参院選への影響を最小限に抑えたいとの思惑もあった。「増税の決断は参院選から遠ければ遠いほどいい」(若手参院議員)との事情があるからだ。

 ただ、来年は夏の参院選に先立って春に統一地方選がある12年に1回の亥(い)年。過去の「亥年選挙」の参院選で自民党は、
組織が疲弊し、苦しんだケースが多かった。現段階では党内で「増税はやむを得ない」(閣僚経験者)との声が強いが、
選挙情勢が厳しくなれば増税先送り論が噴き出す展開も否定できない。

 首相は昨年の衆院選で消費税の増税分を財源とする全世代型社会保障を公約しており、
増税先送りは公約不履行につながるため容易ではない。しかし、景気の腰折れを招けば、残り任期の最優先課題の一つと位置付けるデフレ脱却が遠のきかねない。

 首相は増税を表明したが、政府高官は「まだ最終決断ではない」と指摘。首相周辺も「基本は増税だが、よほどのことがあれば別だ」と予防線を張った。
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