八重山日報 【金波銀波】

9日に那覇市で開かれた翁長雄志前知事の県民葬で、菅義偉官房長官が安倍晋三首相の弔辞を代読したが、会場の数人から「うそつき」「帰れ」と罵声が浴びせられた。
葬儀の厳粛さを乱す行為で、県民として恥ずべき光景だ

◆県主催の全戦没者追悼式でも出席した首相にやじが飛ぶことが恒例になってしまっており、毎年心が滅入ってしまう。
たまたま東京でニュースを聞いたが、県民葬の罵声の件は東京でも深刻に受け止められており「沖縄は大丈夫なのか」という声を数人から聞いた

◆米軍普天間飛行場の辺野古移設が県民の基地負担軽減になると主張する政府。
県内移設では負担軽減にならないと反論する基地反対派。
両者の対立はイデオロギー闘争のようなもので、県民の間でも意見が分かれている

◆気に入らない考えを述べているからと言って一方的に相手をやり込めようとする行為は、ウチナーンチュの特徴でもある寛容性にも反する。
あのような不届き者が県民の多数派でないことは、本土住民にも県民自身にも理解してほしいと思う

◆翁長県政では政府と県の対立ばかりがニュースになった。
玉城県政には両者の溝を埋め、心の傷を癒やす役割が求められる。間違っても対立や分断を加速するような県政になるべきではない。

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