台湾が台湾本島以外の離島観光のアピールに力を入れている。9月下旬には台湾海峡の離島、澎湖諸島の馬公市で国際的な
非政府組織(NGO)の年次総会を開き、豊かな観光資源を世界に向けて発信した。蔡英文政権発足後、中国からの観光客数が
大きく減る中で、日本や欧米など幅広い地域から観光客を呼び込みたいとの狙いがあるようだ。(馬公 三塚聖平)

 「澎湖の美しさは、今では世界でも認められている」。9月27日、馬公市内で開かれた「世界で最も美しい湾クラブ」の関連イベントで、
蔡総統が各国からの来賓を前に強調した。

 同クラブはフランスのバンヌに本部を置くNGO団体で、今年4月現在で日本を含む26カ国・地域の43湾が加盟する。
澎湖は2012年にメンバーとして認められ、今回初めて総会開催地に選ばれた。来年には富山県で総会が開かれるため、
日本からの参加者の姿も多く見られた。

 澎湖は台北から飛行機で1時間弱の場所に位置し、大小あわせて90の島で構成されている。

ビーチや伝統的な集落、特色ある地形を紹介する公園、新鮮な海鮮料理など多様な観光資源を抱え、台湾でも人気の観光地のひとつだ。
澎湖の陳光復県長(知事に相当)は「今回のイベントを通じて世界に澎湖を見てもらいたい」と意気込みを語った。

 台湾の交通部(国土交通省)観光局は、18年を「海洋旅行年」として離島観光を推進している。台北など海外からも多くの観光客が訪れる
台湾本島に加え、離島への訪問客も増やしていきたい考えだ。

 台湾が離島観光を進めているのは、中国からの観光客減少が背景にある。観光局によると、17年に台湾を訪れた旅行者は前年比0・46%増の
約1073万人と微増だったが、そのうち中国からの旅行者は22・19%減の約273万人と激減。中国以外からの観光客呼び込みは喫緊の課題だ。

 澎湖の地元関係者も「日本や欧米からより多くの観光客に来てもらい、自然や文化、グルメなど澎湖の魅力に触れてもらいたい」と期待感を示した。
https://www.sankei.com/world/news/181010/wor1810100033-n1.html