16年にわたる同居解消 ホッキョクグマカップル、別れの理由
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兵庫県姫路市立動物園の人気者、ホッキョクグマのメス「ユキ」(18歳)が来春にも、秋田県立男鹿水族館に移され、同館のオスとの同居が計画されている。だが、ユキには16年も一緒に暮らし、3頭の子をなした「ホクト」(17歳)というオスがいる。
2頭を引き裂く背景には、飼育個体数の減少という深刻な危機があるという。2頭にとって酷な気がするが、野生の暮らしを考えると意外にそうでもないらしい。(井沢泰斗)
【グラフ】ホッキョクグマの国内の飼育頭数
2002年、ユキはセルビア、ホクトはロシアの動物園から来園し、約16年姫路で暮らしてきた。10年と13年には出産を経験したが、赤ちゃんはいずれも死んだ。
今年も同園が交尾を確認したが、出産の兆候はない。そのため日本動物園水族館協会(JAZA)の提案に応じ、来年1月ごろまでに出産の兆候がなければ、ユキを秋田へ移すことになった。
「人気動物なので、園としても外に出すのは寂しい。それでも国内の(ホッキョクグマの)状況を考えると、最後のチャンスなのだと思う」。同園の安井聖二園長(55)が苦しい胸の内を明かす。
JAZAによると、国内の動物園・水族館で飼育されているホッキョクグマは現在38頭。繁殖が難しく、最も多かった1995年の67頭から約30頭減った。
危機感を強めたJAZAは11年にホッキョクグマの繁殖プロジェクトを開始。繁殖可能年齢が終わりに近づく20歳前後の個体から施設間のペアの組み替えを進めており、姫路の2頭も対象となったという。
「人間の都合でかわいそう」という批判も出そうだが、当のペアに痛みはないという。JAZAの担当者は「単独生活を送る野生のホッキョクグマは繁殖期ごとにペアを変えているとみられる。極端に言えば、オスとメスが行動を共にするのは交尾の時だけ」と断言する。
ユキの所有権は姫路市にあるため、新天地で出産した場合は子と一緒に呼び戻すことも可能という。安井園長は「将来的な里帰りもあり得る。絶滅危惧種にも指定される種の保存のため、残念だが市民の方には理解してほしい」と訴える。
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