EUデジタル税、独は慎重姿勢 仏は導入目指しサンセット条項提案
[ウィーン 8日 ロイター] - ドイツのショルツ財務相は8日、欧州連合(EU)欧州委員会が提案しているIT大手を主な対象とする「デジタル税」に関して、徹底的な議論が必要だと指摘した。ただ、年末までに結論がまとまる可能性はまだあるとの見解も示した。
欧州委は3月に、グーグル<GOOGL.O>やフェイスブック<FB.O>などIT大手に対し、デジタル関連売上高の3%を課税することを提案。
ただ、低い税率でIT企業を誘致してきたアイルランドのような経済規模が小さい加盟国や、米国による報復措置を恐れる北欧諸国などからは反対の声が上がっている。
ショルツ氏はEU財務相理事会の場で記者団に「議論にある程度の時間を費やす必要がある」と指摘。その上で、年末までに妥協点を見いだしたいと述べた。
ドイツ政府は従来、デジタル税の導入を推進してきたが、ショルツ氏が3月に財務相に就いてからは慎重姿勢に傾いている。
EU当局者らによると、ドイツはデジタル税を導入した場合の国内自動車メーカーへの悪影響を懸念。自動車メーカーが貿易相手国による報復措置に直面したり、デジタル関連収入が増えれば課税対象となったりする可能性があるからだ。
デジタル税推進派のフランスのルメール財務相は、反対派の譲歩を引き出すため、IT企業への課税について国際的な合意がまとまった場合にEUデジタル税が自動的に廃止になる「サンセット条項」を追加することを提案。
ただ、アイルランドのドナフー財務相は依然消極的で、域外諸国を含む国際的な合意が最善策だと強調した。
EUの税制改革は28加盟国すべての承認がなければ実施できない。議長国のオーストリアは年末までに妥協点を見いだしたい考え。
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