イラン生まれのサヘル・ローズさん(32)は、中学校でひどいいじめを経験しました。「学校が全てではないです。本当の友達は、30代や40代で会うかもしれない」と語るサヘルさん。「心の傷」との向き合い方について聞きました。


違和感を感じたのは、小学5年の時でした。誕生日会に友達を招待した時に母が出したバナナロールがきっかけです。うちは貧しかったので、母はスーパーで夜半額になったものを買ってきてくれた。

 振る舞われたのは1人一口くらいのサイズで、バナナの色も変色していたものでした。私にとっては十分でしたが、みんなに嫌な顔をされて
。あの頃から「この子の家お金ないんだ。なんか違うんだ」って。

 中学に行くと、元々外国人で目立つ上に、リンスも買えなかったので癖毛が膨張した髪形で。当時イラン人による事件報道がたまたま多く、男女両方からいじめられました。
「ばい菌ゲーム」が始まり、肩がぶつかっただけで「腐る」「サヘル菌」ってみんなに笑われて……。

授業中に両側の子が下敷きを顔の横に立てて、私が振り返ると「なんでこっち向くんだよ、顔が腐る。下敷きも使えなくなった」と言われました
。後ろから蹴られて階段から落ちたこともあるし、上履きを目の前で捨てられたこともありました。先生も守ってくれなくて、見て見ぬふり。どんどんエスカレートしていきました。

 2週間くらい別の子がいじめられていた時期もありましたが、すぐまた私に戻ってくる終わりの無い生活。言葉や態度で無視されたり、そこにいないように扱われたり。心はすり切れていき、どんどん自分の存在価値が薄れてしまった。

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