室井佑月「石破! 石破! 石破!」

 作家の室井佑月氏は、安倍一強の自民党総裁選を疑問視する。

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 このコラム、8月17−24日合併号にて、自民党総裁選、石破茂さんを応援すると書いたらSNSなどで、
「どーせ総裁選後には憲法改正めぐって石破茂をdisる運命なのに」
 などといわれた。そうだよ。たぶん、あたしはそうするだろうよ。
 小泉進次郎さんに早く石破支持にまわって暴れまくって欲しいと書いたら、このバカ!などといわれた。
 べつに今更、バカだといわれても、ババアといわれても痛くも痒くもない。ブスってのはちょっと傷つくが……。
 ま、そんなことはどうでもよい。
 暴力団のように恐ろしい安倍政権。少し前の読売新聞に、安倍首相自ら岸田政調会長を会食に呼び出して、
「(総裁選に)出たら、処遇はできないよ」
 そう恫喝したって載っていた。
 麻生副総理も、
「負ける候補の推薦人は冷遇されるんだ」
 とかいったそうじゃない。
 その効果か、自民党国会議員の7割の腰が抜け、安倍支持にまわるという。
(略)
 権力の私物化、国会や憲法や、人権の軽視。
 どこをどうとって安倍じゃないといけないの? 選挙のとき、自民党の公認をもらえないと困る? そろそろ役職が欲しい? いやいや一緒に悪さをしてて、それがバレるのが怖いとか?
 バッジをつけた国会議員ともあろう者が、この国や、国民のことを考えず、真っ先に己の処遇を考えるって、もうダメじゃん。
 自民党内、安倍様絶対の空気を破って手を挙げた石破さんは、ようするに「安倍じゃダメだ」といっておる。それをしただけでも、世の諦めムードに一石を投じたってことで偉いと思う。
 みんなは石破さんの出馬会見や、その後テレビでインタビューを受けているところを観て、驚かなかった?
 この人の話は、すんなり意味がわかるって。どんだけ最悪に慣らされてしまったんだよ。

※週刊朝日  2018年9月7日号

https://dot.asahi.com/wa/2018082900006.html