群馬県中之条町の山中で県の防災ヘリコプター「はるな」が墜落し乗員9人が死亡した事故で、飛行記録によると、
通信が途絶えた10日午前10時1分の直前20秒間にヘリが時速約30キロから約145キロまで急加速していた。
国の運輸安全委員会や県警は何らかのトラブルが生じた可能性もあるとみて事故原因を調べている。

 ヘリに搭載された全地球測位システム(GPS)の位置情報によると、ヘリは群馬・新潟・長野3県の稜線(りょうせん)を結ぶ登山ルート「ぐんま県境稜線トレイル」を視察するため、
10日午前9時50分ごろから、おおむね時速数十キロで群馬・長野県境を北東へ飛んでいたが、午前9時59分ごろ、予定航路を外れて南へ急旋回。
午前10時40秒から20秒間に時速約30キロから約115キロ急加速した。その後通信が途絶え、この地点から北西に約1キロ離れた地点に墜落した。

 航空評論家の青木謙知さんは「ヘリは風の影響を受けやすく、ある程度の速度の揺れはよくあるが、今回は加速の幅が大きく、追い風で押されたとは考えにくい。
パイロットが何らかの意図で操作した結果と考えるのが自然」と指摘した。

 一方、県によると、ヘリから救難信号を発信する航空機用救命無線機(ELT)が作動していなかった可能性がある。

 ELTは、墜落で機体に強い衝撃が加わった時などに電波を発信し救助を求める機器。
県によると、事故機のELTは衝撃を感知後に自動発信する仕組みだったが、受信は確認されなかった。
県は「機器が作動しなかったか、山中からの電波が届かなかった可能性がある」と話している。

 県警は12日、死亡した9人のうち、新たに3人の身元が判明したと発表した。これで9人全員の身元が確認された。
このうち、吾妻広域消防本部所属の5人の死因は外傷性ショックだった。

群馬ヘリ墜落:115キロの急加速 通信途絶える20秒前
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-0814m040074/