オフィスが足りない!中小企業が移転先確保に四苦八苦する理由
2018.8.1

「事務所のあるオフィスビルで突然、マンションへの建て替えが決まった。
引っ越し先を必死に探しているが、全く見つからず困っている」
東京都渋谷区のある中小企業の幹部は、そう肩を落とす。

7月9日、総合不動産サービス大手のジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)が、
東京の中心業務地区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)における
2018年第2四半期のオフィス空室率および賃料を発表した。

それによれば、延べ床面積3万平方メートル以上のAグレードの空室率は2.0%で、
前年比0.9ポイントダウン。3万平方メートル未満5000平方メートル以上の
Bグレードは0.9%で、同1.6ポイントダウンだった。
これは、08年のリーマンショックの少し前、プチバブルに沸いた06〜07年以来の低い水準だ。
賃料も、共益費込みでAグレードが月額3万7098円/坪となるなど、上昇傾向が続いている。

その要因について、JLLリサーチ事業部ディレクターの大東雄人氏は、
「雇用市場は歴史的な低水準で、企業が人手不足に直面する中、本社をより便利で
機能的な場所へ移しているからだ」と分析する。

さらに今年に入り、WeWorkに代表される、オフィスをシェアする
コワーキングスペースが急速に拡大した。Aグレードを複数フロア借りるなど、
主要5区で延べ床面積6万平方メートルを超え、前年の2倍となった。
従来のレンタルオフィスとは全く異なる規模で展開しており、空室率を押し下げる要因となっている。

● 2次空室もすぐ埋まる
そんな中、大企業に比べて資金力と信用力で劣る冒頭のような中小企業が、移転先確保に四苦八苦している。
今年から20年にかけて、新築オフィスビルの大量供給が計画されており、
空室率は徐々に上昇すると予想されていた。
しかし、大企業が移転し、空いたビルには別の企業がすぐに入居する。
さらに、築年数を経たビルは五輪需要でマンションに建て替えられている。

ふたを開けてみれば、「今年の供給計画では、すでに90%がテナントを確保。
来年、再来年の物件もテナントが決まりつつある」(大東氏)。
(後略)
https://diamond.jp/articles/-/175947