話題の映画『カメラを止めるな!』上田監督 借金まみれホームレス同然からの大逆転
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6月23日の公開以来、常に満席状態が続いている映画『カメラを止めるな!』。公開当初は2館のみの上映だったが、口コミやSNSでたちまち話題となり、今後全国で100館以上での上映が決定している(7月28日現在)。
37分のワンカット・ゾンビサバイバルから始まる本作。しかし、ただのゾンビ映画ではない。「おもしろすぎてネタバレしたくない」「とにかく観に行くべき」と絶賛するコメントが投稿されているように、綿密に張り巡らされた伏線と、テンポのいい笑いのエッセンスが巧みにちりばめられたエンターテインメント作品なのである。
口コミでじわじわ広がった映画『カメラを止めるな!』は、ただのゾンビ映画ではなかった!? ©ENBUゼミナール
メガホンをとったのは、本作が長編映画デビューとなる上田慎一郎監督。脚本、編集も手掛け、「現実が夢を追い越していく日々。喜びをかみしめる暇もありません」と語る彼に、これまでの軌跡をインタビューした。
「無名×低予算なのに……」ではなく“だからこそ”できた傑作
血のりがついた衣装は監督の自宅ベランダで制作したそう©ENBUゼミナール
監督・俳優養成スクール「ENBUゼミナール」のシネマプロジェクト作品として制作された『カメラを止めるな!』。制作費300万円という低予算、さらにキャスト全員がまだ無名の俳優だ。“34歳の新人監督”は、「みんな無名だったからこそ、この映画は出来上がった」と断言する。
「キャストはオーディションで選んだ12人。経験も少ないし、技術面も完璧じゃない人ばかり。
だったら演技と本来の自分との境目をなくしてしまえと思って、彼らの個性そのものをあてがきにして脚本を書きました。それに無名なキャストだからこそ、先の展開が読めないし、観ている人に親近感を持ってもらえたのかなって。
だって広瀬すずさんや菅田将暉さんが出てたら『あ、どうせ最後まで生き残るだろうな』って気持ちで見ちゃうし、遠い世界の出来事のようで自分事化しにくいでしょ(笑)」(上田監督)
低予算で撮影時間も限られている。そんな厳しい条件下で臨んだ冒頭シーンの撮影は、無謀ともいえる37分ワンカット。撮影はトラブル続きだったそうだ。