<社説>埋め立て撤回表明 新基地建設断念求める
翁長雄志知事が辺野古埋め立て承認の撤回を表明した。
新基地建設を強行してきた政府はさまざまな対抗措置を準備しているとみられ、再び司法の場での争いになると予想される。政府がやるべきことは、長年基地の過重負担に苦しんでいる沖縄の状況を是正することである。
知事が民意を背に決断したことを尊重し、辺野古新基地建設を断念すべきだ。
2014年知事選で勝利した翁長知事は、仲井真弘多前知事による辺野古埋め立て承認を取り消した。
代執行訴訟や和解、国地方係争処理委員会(係争委)の審査などを経て、最後は国が提起した不作為の違法確認訴訟で県が敗訴した。
知事が「取り消し」を取り消したため、承認の効力が復活し現在に至っている。
承認に違法性がある場合に承認時にさかのぼって効力を失わせる「取り消し」に対し、承認後に生じた違法行為を根拠にする「撤回」は、その時点で効力を失わせる。
いずれも公有水面埋立法で定められた知事の権限であり、事業者である国は埋め立ての法的根拠を失う。国の姿勢が変わらなければ、事業者の言い分を聞く聴聞を経て、知事は撤回を行うことになる。
国と県が裁判で繰り返し争うのは正常な姿ではない。
政府の一方的な姿勢が県を訴訟に追い込んできた。岩礁破砕を巡っても、政府が県の許可を一方的に不要と主張し強行した。
県は差し止め訴訟を起こし、現在も係争中だ。
15年の承認取り消し後の代執行訴訟では、裁判所が勧告した和解が成立した。しかしすぐに国が是正指示を出したため県は係争委に審査を求めた。
係争委委員長は法的判断を回避した上で「国と沖縄県は真摯(しんし)に協議し、双方がそれぞれ納得できる結果を導き出す努力をすることが、問題解決に向けての最善の道である」と述べた。
しかし、ほとんど協議せず国は新たな提訴に踏み切る。裁判所や係争委の意向を国は無視した。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-770334.html
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