東京都多摩市唐木田1丁目のオフィスビルの建築現場で発生した火災では、多数の作業員が一時、建物内に取り残された。黒煙に巻かれながらも避難した作業員たちが、出火当時の建物内の状況を語った。


 「火事だ。逃げろ」

 地下3階で配線工事をしていた秋月大さん(26)はこんな声を聞き、避難するため上階へ続く階段に走った。すぐに周囲に煙が充満し、「死を覚悟した」。
同僚と2人で地下1階まで上がっても、真っ黒な煙で前が見えなかった。「吐き気を催した。その場で倒れ込んだ人もいた」と話した。

 2階にいた男性作業員(21)も他の作業員の声で火災に気付いたが、数秒後には黒煙にのみ込まれたという。上司の指示で避難を試み、5分ほど建物内に取り残されたが、
なんとか外に出られたという。「地下から出火したと聞いた。すごく怖かった」

 近所の元看護師の女性(70)は現場近くの路上で、避難してきた男性作業員2人を介抱した。「1人は意識がもうろうとしていて、呼吸がうまくできない状況だった」。
もう1人の男性も「痛い」「苦しい」と体の不調を訴えたため、周辺住民が氷やタオルを持ってきて、2人の体を冷やしたという。「周辺住民で介抱した。意識があってよかった」と話した。

 黒煙は周辺の住宅地へも広がった。現場近くの団地に住む和田翔さん(38)の家族は、周囲が暗くなり、騒ぎに気が付いた。「雨雲かと思ってベランダに出たら大きな黒煙だった。
けが人が心配です」と話した。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180726-00000076-asahi-soci