救急車がいない 名護で救急搬送は増加 救急体制が切迫
【名護】市消防本部の救急出動件数が近年、増加傾向にあり、救急態勢が切迫している。
2017年は3628件となり、13年と比較して22%(662件)増えた。入院が不要な「軽症者」の救急要請の増加に加え、医師が不足している県立北部病院の診療制限による転院搬送数の増加も拍車を掛けている。
同本部は北部地域の観光客増で救急の需要が高まることも見越し、適正な利用を呼び掛けている。
(北部報道部・又吉嘉例)
救急車がいない―。市消防本部では17年、3台ある救急車が出払ったことが、1年を通して159回あった。
他地区の消防本部の応援を要請した「4台同時出動」も10回あった。
17年の複数車両の「同時出動」は1062回で、16年比で21%(185回)増加した。
救急搬送全体に占める軽症者の割合は17年までの5年間、50%前後で推移し、件数も増加傾向にある。
17年は1769件となり、13年に比べ21%(310件)増えた。
その理由として、同本部警防課の島袋一史課長は「市民の高齢化と、消防に対するニーズの多様化がある」とし、
「軽症者に対応するために救急車がいなくなり、重症者からの救急要請に応えられないとすれば、本来の救急のあり方ではない」と指摘する。
ただ、島袋課長は「軽症だったから救急車の不適正な利用ということではない」と念を押す。
一般市民にとって緊急度の判断は難しいため、要請があれば必ず現場に行って容体を確認し、医療機関へ運ぶという。
北部病院では診療科の制限が続き、中南部の病院への転院搬送数も過去5年間、300〜400件台で推移している。
名護市がクルーズ船誘致を進めていることなどから将来の観光客増も見込まれ、消防への需要もさらに高まる見込みだ。
同本部は救急車を呼ぶべき症状について市民の理解を深めようと、15年から希望する地域や事業所に救急救命士を派遣し、救急救命講習会を開いている。
島袋課長は「地域の人と面談する機会も増やし、消防行政の現状を伝えたい」と話した。
救急救命講習会の問い合わせや申し込みは同本部警防課
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/284100
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