ジェームズ・ホリフィールド教授に聞く「移民問題を見るポイント」

移民政策なきまま、外国人の住民が増え続ける日本。「移民受け入れに向け、政治家が勇気ある決断をすべきだ」と、
ジェームズ・ホリフィールド氏は呼びかける。アメリカのサザンメソジスト大教授で、人の移動に関する研究では
草分けといえる存在だ。6月に来日した機会に、話を聞いた。(構成・中野渉)

(中略)

――日本は移民や難民の受け入れが進んでいないと指摘されます。ヨーロッパなどと比べてどうでしょうか。

日本と欧米とでは、移民を取り巻く状況が異なります。ヨーロッパは危機に直面しています。中東情勢は深刻で、アフリカからも
人々が押し寄せ、紛争の絶えない南西アジアからも人々が来ます。ヨーロッパ諸国はそれらの国々のかつての宗主国でもあり、
言語の結びつきもあるために、人々がヨーロッパを目指すのです。

一方、日本を考えると、移民を必要としているのは明らかです。グローバル経済に深く関わっていて、自由貿易と海外からの
直接投資に頼っています。移民は多くの才能を持ち、勤勉で、起業家としての技術を持っています。また、労働力でもあり、
高齢化に直面する日本は、移民を受け入れれば様々な問題を解決できます。

日本は現在、移民を受け入れる姿勢をとってはいませんが、多様な文化を受け入れる土壌は備えています。
これまでも、中国人や朝鮮半島の人たちを受け入れてきたのが、何よりの証拠です。日本が「単一文化の国」というのは神話に過ぎません。

日本はいま、新しい「明治時代」を迎えていると思います。明治維新で近代化が進み、社会を大きく変えたように、移民を受け入れる時代です。
そのために、政治家には勇気ある決断が求められます。

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https://globe.asahi.com/article/11681956