「仕事ほしい会社は言ってこい」収賄容疑の前伊東市長

静岡県伊東市のホテルの跡地の売買をめぐる贈収賄事件で、収賄の疑いで逮捕された前の市長は、地元の建設会社が
集まる会合で「仕事がほしい会社は自分に言ってこい」などと話していたことがわかりました。公共事業の受注が一部の
会社に偏っているという指摘もあり、警視庁は贈賄側の会社との関係を深めた経緯を調べています。

静岡県伊東市の前の市長、佃弘巳容疑者(71)は平成27年に、地元の建設会社が所有するホテルの跡地を市で買い取る
約束をした見返りに建設会社の役員から現金およそ1000万円を受け取ったとして、収賄の疑いで逮捕されました。

警視庁は17日、前市長の自宅を捜索しました。

警視庁は贈賄側の建設会社と関係を深めた経緯について捜査していますが、数年前、地元の建設会社が集まった会合で、
佃前市長が「補正予算を1億確保した。仕事がほしい会社は自分に言ってこい」などと話していたことが、市の関係者への
取材でわかりました。

前市長は、市長になる前に3期務めた県議会議員のころから建設会社とのつながりを深めたとされ、公共事業の受注が
一部の会社に偏っているという指摘も出ていたということです。

市では佃前市長が関係する事業は「佃案件」とも呼ばれ、実現しなければならない雰囲気があったということで、警視庁は
贈賄側の会社との関係を深めた経緯を調べています。

議会で反対意見も 説明なく予算可決

ホテルの跡地の購入をめぐっては、伊東市の市議会でも疑問を呈する質問が上がっていました。

市議会議員の一人は去年3月の定例議会で、図書館や文化ホールなどの公共事業に関する多額の予算について
「歳入もそれほど大幅に伸びる要因がない。今後、大型事業はどういった考え方でやっていくのか」などと、当時現職だった
佃前市長に公共事業に対する姿勢について質問していました。

それに対して佃前市長は「歳入歳出一体改革で財政は万全な体制になってきている。緩めるところは緩め、建設に
向かうべきだ」と答弁していました。

今回問題となった3年前のホテル跡地の購入のための補正予算案について、議会では複数の議員から「財政面からみても
大変大きな事業計画で、議論が不十分である」とか「計画があまりにも漠然とした土地購入は、不要不急の予算になりかねない」
といった反対意見が上がっていました。

これについて佃前市長や市側から具体的な説明はなく、補正予算案は可決していました。

住民「暴力団関与のうわさあった」

ホテルの跡地の近くに住む76歳の男性は「もともとあったホテルが『岡本ホテル』に変わった際、暴力団が経営に関わっていると
地元ではうわさになっていました。ホテルが閉鎖された後、電気も通っていない、誰もいないはずのホテルから火が出る騒ぎもありました。
佃前市長の市政運営は評価していたところもあったので、このような土地について前市長が関わっている疑いが
出ていることにショックを受けています」と話していました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180617/k10011481811000.html