三十年の歳月を費やしてこの三月に代々木上原―登戸間の全線複々線化を完成させた小田急電鉄。輸送力は四割も上昇し、
ラッシュ時の列車が大増発されるなど沿線住民からは歓迎の声が上がる。
 その一方で苦り切っているのが京王電鉄。並走区間が多く、なかでも多摩ニュータウンと都心を結ぶ区間ではまともに競合し、
乗客を奪われかねない。複々線化前まで京王相模原線多摩センター駅の乗降客は一日八・七万人、小田急多摩線多摩センター駅は
五万人で、京王が圧倒していた。
 しかし複々線化に合わせて小田急がこれまで主体としてきた代々木上原から東京メトロ千代田線に直通運転する列車に加え、
新宿直通の通勤急行を新設したことなどで様相は「一変する気配をみせている」(関係者)という。
 京王側が対抗策として打ち出したのが運賃値下げだ。新宿までの片道を二十円、通勤一カ月定期を七百五十円引き下げたが、
関係者によるとこれだけで年十二億円の減収。京王の定期券一人当たりの収入(単価)は年々下がり続けており、グループ内からは
「まさに自殺行為」との声も聞こえてくる。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180611-00010000-sentaku-bus_all