福岡県の小川洋知事と、九州にある自衛隊や海上保安庁などのトップによる意見交換会が28日、福岡市で開かれ、朝鮮半島での有事を想定した危機管理上の取り組みを協議した。
韓国から退避する日本人の受け入れや、「偽装難民」対応など、万一の事態における課題は上がったが、具体的な対策は今後の実務者協議に委ねられた。
意見交換会には、北部九州を管轄する陸上自衛隊第4師団の高田祐一師団長や、山口から沖縄までを担当する海上自衛隊佐世保地方隊の菊地聡地方総監ら計7人が出席した。
会合は非公開で行われた。複数の関係者によると、大雨の季節における災害対策に加え、半島有事への備えを話し合った。
小川氏は「韓国には大勢の日本人がいる。邦人退避で福岡県の役割は大きい。また、難民、そして偽装難民をどう把握し、振り分けるかも課題だ。横の連携をしっかり図るべきだ」と問題提起した。
これに航空自衛隊西部航空方面隊の井筒俊司・司令官は、福岡空港の課題を挙げた。
大型航空機で400人の難民が空港に降りるケースを想定し、「まず、入国審査などの水際対応をする場所がない。
途中でターミナルの外に出ないようにする方法や、(一時収容先への)バス確保も問題になる」と述べた。
小川氏は「(空港を管理する)国から、どうすべきか連絡がない。頭の体操をするしかない」と嘆いた。
ある自衛隊の出席者は、北朝鮮の弾道ミサイルを想定した住民避難訓練について、回数が足りないと指摘した。
その出席者は「米国では竜巻に備えた訓練などを、日頃から実施している。訓練の回数をもっと増やさないと、国民には浸透しない。内容も、より実践的にすべきだ」と述べたという。
福岡県は6月10日、内閣官房などと共同で、同県春日市で避難訓練を実施する。約150人が参加する。
半島情勢は依然、不透明だ。米朝首脳会談の有無はもとより、会談があったとして、その中身によっては、米国が軍事行動に踏み切る可能性も、排除はできない。
「皆さんと顔の見える関係をつくり、連携を密にしていかねばなりません」
いかそ
行政、自衛隊、海保のトップ意見交換 「偽装難民」把握など課題山積 福岡
https://www.sankei.com/region/news/180529/rgn1805290011-n1.html