【ウィーン三木幸治】オーストリア政府は28日、公用語のドイツ語ができない難民や移民の
生活保護費をオーストリア国民の約7割に減額する方針を発表した。難民らの入国を
増やさないようにする措置の一環だが、欧州連合(EU)は全ての市民を平等に扱うように
定めており、今後、議論を呼びそうだ。

 オーストリアでは2015年、人口の1%にあたる約9万人が難民申請。昨年12月に
中道右派の国民党と極右・自由党の右派連立政権が発足しており、難民らの流入抑制は
両党の選挙公約だった。

 現在、オーストリアの生活保護費は月863ユーロ(約11万円)。ドイツ語の試験に
不合格となった難民らの生活保護費は今後、月額563ユーロ(約7万2000円)に
抑えられることになる。試験に合格し、入国後5年が経過すれば、オーストリア国民と
同じ額に引き上げられるという。

 今回の方針では、既に申請が認められ、国内に居住する難民や移民にも適用するかは
明らかにしていない。

 クルツ首相は「EUが重視する『自由』は、最高の社会保障を求める自由ではない。
(我々は)正しい方向に進んでいる」と主張。クルツ政権は難民らへの強硬姿勢を示す
東欧諸国と連携し、EUに難民政策の見直しを迫っている。
https://mainichi.jp/articles/20180529/k00/00e/030/232000c