士幌町は、北海道十勝平野の中心、帯広市の北方30kmほどところにある。町の西北部には東大雪山系の
山岳地帯を臨み、東部にある佐倉山系の丘陵と居辺川の河岸段丘にかけて、広々とした畑地や牧草地が
広がる畑作、畜産を中心にした北海道の穀倉地帯だ。
人口6300人ほどの小さな町だが、JA士幌町の本店や役場などのある町の中に入ると、JA士幌町の
文字も鮮やかな加工場や倉庫など、農業関係の大きな施設が目につく。でん粉工場、麦乾燥貯蔵施設、
バレイショ加工処理施設などだ。そして町役場の前には立派な「農協記念館」がある。
近くには農協庭園、農村工業発祥の地記念碑、農村自然公園などがあり、町内には1か所500〜3500頭を
飼育するリースによる18か所の肉牛肥育センター、10戸で450haの草地を持つ、やはりリースの酪農団地、
350頭飼育する育成牛預託施設、1日50頭を処理する食肉処理施設と、ほとんどが農畜産物の生産と
加工に関わる施設であり、まさに「農業で成り立っている町」という印象を強く与えてくれる。
北海道では、未合併で組合員数が1000人以下というJAは珍しくないが、JA士幌町も組合員戸数は411戸で、
准組合員の79人を含めて組合員数は739人にすぎない。准組合員の比率が、他府県に比べて高い北海道に
あっては、これも珍しい。それだけ経済事業を中心としたJAであることが分かる。
同JAの農畜産物販売高(共済金含む)は平成28年で約435億円。単純に組合員戸数で割ると、1戸当たり
約1億円になる。内訳は酪農畜産物が約329億円で畑作物が同106億円となっている。
いずれもJA独自の加工事業の販売高が大きな比率を占める。利益は利用奨励・割り戻し、
出資積み増しなどで組合員に還元しており、その総額が同年で約21億円に達する。
組合員1戸当たり約500万円になる計算だ。
http://www.jacom.or.jp/noukyo/tokusyu/2018/01/180110-34369.php