萌景が亡くなる前日の3月20日に、萌景と二人で事務所へ伺って入学に必要なお金をお借りすることになっていました。
私から、契約満了までの1年半は「愛の葉Girls」の活動を頑張るということを伝え、「全日制高校へ進学したい。お借りした
お金は、働いてお返しします」という萌景の考えをTさんに話したところ、「なぜ今、このタイミングで辞めることも考えるのか」、
「今の考えのままなら、お金は貸せません」と告げられました。

事務所から帰ってきて、思いつめた表情の娘に「明日、全日制高校は辞退しよう」と私から話すと、「そうだね、そのほう
がいいよね。『愛の葉』にいても正直(高校を)続けられるか分からんしね」と萌景は語っていました。「とりあえず『愛の葉』
を卒業したら、通信でも定時でもいいから、無理しないでゆっくり高校に行こう。高校卒業認定だけは必要だよね」と諭し
ました。本人も「そのほうがいいよね。バイトもできるし」と。そのときぼそっと「私って悪い子よね」とつぶやいたんです。

「だってさ、私は全日(制高校)に行くことを友達とか、入学するはずだった高校の校長先生にも『今年入学します』と挨拶
したのに、そういった期待を裏切ってしまっている」

「ちゃんと通信に行かせてもらえたら、あと3年で卒業やったのに、私の1年間は一体何やったんやろうね。1年間無駄にした」

 こういう風に話していました。何とか気持ちを切り替えて親子で話していたところ、その日の夜になって、日中に話し合いを
したTさんから連絡があり、高校をあきらめて1年半は「愛の葉Girls」を頑張ると伝えると、驚いた様子で「本当に高校入学を
辞退していいんですか? 本人から社長(Sさん)に連絡させてください。本当はお金を用意しているので」と言うのです。いま
振り返ると、私たちを振り回す行動だったと思えてなりません。
「1億円を払うように言われた」という娘の言葉

 萌景は出先からSさんに電話をしたようです。電話を切ったあと一緒にいたお友達に、

「謝らされた、私は何も悪いことしていないのに謝らされた」

「なんで私が謝らないかんの? 本当に社長(Sさん)に裏切られた」

 と話していたそうです。このときは、何のことを謝らなければならなかったのか、お友達にも話さなかったといいます。

 亡くなった3月21日の朝、萌景が一緒にいたお友達とそのお母さんに、

「私の(「愛の葉Girls」で活動した)2年間は何だったんだろう、夢を返してほしい」(続く)