続き

生活扶助費の見直しは5年に1度。算定には「水準均衡方式」が使われ、今回は全国で受給世帯の67%が減額対象になる。
母子世帯などで増額のケースはあるが、65歳以上の単身世帯では減額対象が76%に上る。

水準均衡方式は下位10%の所得層の消費水準に合わせる手法で、その算定法のあり方を疑問視する声は強い。
今回も160億円を削減

福井弁護士会で人権擁護委員会貧困対策部会長を務める堺啓輔弁護士は「生活保護基準未満の世帯で生活保護を利用しているのは1〜2割程度」と述べ、本来なら受給できる低所得世帯まで10%に含まれていると指摘。
下位10%層の消費水準から算定することは、生活扶助基準が際限なく下がることにつながると訴える。
福井県内の生活保護世帯と人数(図:福井新聞)

生活保護世帯にとっては、クーラーや冷蔵庫などありふれた家電の故障も命取りになりかねない。県内の貧困問題に取り組む反貧困連絡会の事務局の錦織龍彦さん(58)は
「国は毎月の給付を蓄えて計画的に買い直しなさいというが、そもそも最低生活費だから難しい。さらに支給額が最大5%引き下げられたら不可能に近い」と今回の見直し方針を批判する。

生活保護費の引き下げは2004年から続いている。福井弁護士会によると、2013年の生活扶助基準見直しでは平均6.5%、最大10%の引き下げがあり、国は予算を670億円カットした。今回も160億円を削減すると決まっている。

堺弁護士は「減額ありきではないか」と決定過程をいぶかしむ。基準引き下げは就学援助など他の制度に影響する可能性もあるとし、
「生きていくぎりぎりの基準をいつの間にか下回ってしまうことになりかねない」と危惧している。