朝鮮半島情勢がザワつくと急遽執筆される
歴史的な南北首脳会談が開かれ、朝鮮半島に世界の耳目が集中している。半世紀以上も緊張が続いた朝鮮半島情勢も雪解けに向かう
のか、という期待と不安が入り混じった視線が朝鮮半島に注がれているのである。朝鮮戦争休戦から今年で65年。その間、南北間では
数限りない小競り合い、衝突、ゲリラ戦などが繰り返されてきた。
もちろん、一時的に緊張が緩和され、離散家族の再会、文化・スポーツ交流、南北による投資事業などが行われていた時期もあるの
だが、それすらも北朝鮮の核・ミサイル開発によってほとんどが中断。そうした情勢が、今年の2月に開催された平昌オリンピック
や今回の南北首脳会談、そしてこれから開催されるかもしれない米朝首
脳会談によってようやくデタントに向かったことは周知のとおり。
中東やバルカン半島と並んで世界の火薬庫と目される朝鮮半島の情勢は日本にとっても大きな関心事である。昨年のミサイル発射
とJアラートの警報は、北朝鮮に対する関心を大きく喚起させる出来事であった。
こうした情勢は、日本において、ある種の文学作品の創作活動につながってゆく。「ある種の文学作品」とは「架空戦記」というジ
ャンルの小説のことである。「戦記」は実際に起こった戦乱を描いた文学作品であるが、「架空戦記」は実際には起こっていない、
またはこれから起こるかもしれない架空の戦争を描いた文学作品である。その「戦争」の相手とは、アメリカ、中国、ロシア、北朝鮮であることが多い。
また自衛隊がタイムスリップして太平洋戦争に参戦するという内容の作品もよく書かれている。
昨年から今年にかけて『日朝開戦』、『朝鮮半島暴発』(いずれも電波社)という作品が出版されているが、どちらも北朝鮮が韓国や日本、アメリカと戦闘を繰り広げるという内容なのである。朝鮮半島の緊張に対する関心の高まりという「需要」に合わせて、急遽執筆されたものと思われる。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55473