米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に伴う新基地建設で、政府が護岸工事に着工してから25日でちょうど1年がたった。
この1年でさまざまな動きがあり、新たな事実も相次いで判明した。

県は昨年7月、県知事から岩礁破砕許可を得ずに工事を進めるのは違法だとして、国を相手に差し止め訴訟を起こした。
那覇地裁は今年3月、審理対象外として門前払いを求めた国の主張を全面的に受け入れ、これを却下した。県は控訴している。

その間、県はサンゴ保全対策や護岸を使用した海上搬送について工事を中止して県と協議するよう求めてきたが、政府側は応じず、次々と新たな護岸工事に着手してきた。

<中略>

しかし、県民は諦めない。政府に問いたい。
仲井真弘多前知事が公約を破って埋め立てを承認したことが県民の大きな反発を買い、2014年の県知事選で約10万票の大差で翁長雄志知事が誕生した。
その後の国政選挙を見ても民意は明らかだ。
県民はそもそも工事を承認していない。

政府与党関係者は、辺野古反対で結集した「オール沖縄」勢の支持を受けた候補が県内市長選で敗れる結果が続いていることを強調する。
しかし、宜野湾市長選や名護市長選で政府の支援を受けて当選した候補者は、普天間移設問題の争点化を避けた。
有権者の選択肢から「容認」を外したのである。
それらの選挙結果を「容認」と見るのはすり替えだ。
県民の民意は辺野古容認に転じたとはいえない。

政府の民主的手続きのずさんさだけではない。
住民の安全性や自然保護の観点からも、十分な対策がないまま、強引に工事を進めるやり方は目に余る。
土砂が投入されてからでは遅い。翁長知事は早急に埋め立て承認を撤回すべきである。

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-707022.html