◇「親族ら5人殺害」供述容疑者の同級生ら「とにかく影薄い」

 祖母と父、そして家を訪れた親類や近所の男性−−。鹿児島県日置市で親族ら5人を次々と殺害したとみられる岩倉知広容疑者(38)は、どんな半生を過ごし、
なぜ事件へと突き進んだのか。容疑者を知る人々の話から足取りをたどった。【山下俊輔、清水晃平、佐野格】

 地元の同級生らの話をまとめると、岩倉容疑者の幼少期は、ひどく印象の薄いものだった。中学生の時に同じクラスで過ごしたという男性は
「おとなしかったという印象がある程度で、とにかく影が薄い。問題を起こしたこともないが、とりわけ成績優秀だった印象もない。何の部活に入っていたかも思い出せないし、
卒業後の同窓会に出席したことも一度もないのではないか」と振り返る。

 岩倉容疑者は季節工として工場などで働いたこともあったが、長続きはしなかったようだ。久子さんは、近隣住民に「孫が働かず、困っている」と度々漏らしていた。
生活費は、正知さんが小遣いとして渡していたという。親類の女性(81)によると、「父親もそうだが、息子(岩倉容疑者)も人付き合いが苦手で、
周囲とはまったく付き合いはなかったと思う。一体どうしてこうなったのか」とつぶやいた。

 9日に接見した当番弁護士によると、岩倉容疑者は疲れた様子で、弁護士をつけることを拒否したという。

 ◇容疑者の祖母、「病院の院長夫人」として有名

 岩倉容疑者の祖母久子さん(89)は、地元では「岩倉外科病院の院長夫人」として有名だった。だが、親族らによると、50年近く前に院長が40代の若さで肺がんで亡くなり、
病院も売却。その後、岩倉容疑者の父正知さん(68)が離婚し実家に戻る十数年前まで1人暮らしだったという。

 明るく社交的だったという久子さんは旅行好きとしても知られていた。最近は足腰が弱り、つえをついて歩く姿を住民らが見かけていたが、温泉旅行が大好きだったという。

 正知さんは、体格ががっちりとしたまじめな人。以前は喫茶店経営やトラック運転手などをしていたが、実家に戻ってからは久子さんの食事を作るなどして支え、
近くでアルバイトをしていた。庭先でいろいろな花を育て、熱心に手入れする優しい人だったという。

 近くの女性は10日ほど前にごみ捨て場で会った際に「お母ちゃんは元気?」と聞くと、「足腰は弱っているけれど、口は達者だ」と笑っていたという。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180409-00000084-mai-soci