https://www.sankei.com/west/news/180406/wst1804060012-n1.html
「卑弥呼支えた渡来系集団」奈良県立図書情報館・千田館長が自説展開
卑弥呼(ひみこ)時代の邪馬台国(やまたいこく)成立には、アメノヒボコやツヌガノアラシトといった渡来系集団が関与したのでは
ないか−。歴史地理学者で奈良県立図書情報館長(奈良市)の千田稔氏が、そうした自説を同館で開かれた公開講座「図書館劇場XII第6幕」で展開した。
アメノヒボコは、『古事記』『日本書紀』『播磨国風土記』に登場する新羅(しらぎ)の王子で、意富加羅(おおから)国の王子であるツヌ
ガノアラシトと同様に古代朝鮮から渡来。但馬(兵庫県北部)にとどまって玉や鏡などを持ち込んだと伝えられている。
千田氏によると、邪馬台国の有力候補地とされる纒向(まきむく)遺跡(奈良県桜井市)の東方に位置する兵主(ひょうず)神社と、長崎
や滋賀、兵庫県などに分布する兵主神社はアメノヒボコと関係があるという。
「兵主」は武器など金属加工の神で、アメノヒボコの集団は金属加工や土地開発に従事。長崎県壱岐市や滋賀県彦根市などにある金属関連
遺跡について、周辺にある兵主神社との関連性を示し、纒向遺跡がある三輪山麓に渡来文化が入ってきたと推測した。
千田氏はその上で、「三輪山信仰を中心に邪馬台国ができ、アメノヒボコやツヌガノアラシトの集団が技術的な面で貢献したのではいか」と指摘した。