【カイロ篠田航一】サウジアラビアのムハンマド皇太子は2日付の米誌アトランティック(電子版)のインタビューで、「イスラエルの人々は自国の土地で平
和に暮らす権利がある」と述べ、これまで敵対してきたイスラエルを容認したとも取れる発言をした。サウジとイスラエルは最近、双方が敵視するイランをけん制するため、水面下で関係を深めているとの見方もある。それを
付けるかのような発言として注目されている。

 サウジはイスラエルを国家承認しておらず、イスラエルが1967年の第3次中東戦争で得たアラブの占領地から撤退することなどを国交樹立の条件として
いる。皇太子はインタビューで「パレスチナ人とイスラエル人はそれぞれの土地を保有する権利がある。だがすべての人が安定を確保し、正常な関係を築くためには和平合意が必要だ」と語った。

 一方でイラン最高指導者ハメネイ師については「中東のヒトラー」と批判。「(第二次大戦前の)20〜30年代は誰もヒトラーを危険と認識していなかった。
中東で同じことが起きてほしくない」と述べ、イランの勢力拡大に警戒感を示した。

 イスラム教スンニ派の盟主サウジは近年、シーア派国家イランと各地で対立し、内戦が続くシリアやイエメンではそれぞれ別の勢力を支援する「代理戦争」を
展開。イスラエルもイランと対立しており、2月にはシリア領内でイスラエル軍がイランの無人機を撃墜し、イランが支援するシリア軍もイスラエル戦闘機を撃墜するなど緊張が高まっている。

 こうした中、「共通の敵」のイランを前に、国交がないサウジとイスラエルが接近。新米国務長官に就任予定のポンペオ中央情報局(CIA)長官も昨年12月、サウジとイスラエル両国が「テロ対策で協議を続けている」と明かした。
https://mainichi.jp/articles/20180407/k00/00e/030/234000c