『戦争論』を“誤読”した一部の連中がネトウヨになった――小林よしのりインタビュー
https://www.excite.co.jp/News/column_g/20180328/Spa_20180328_01461522.html

 小林よしのり氏が『週刊SPA!』で23年ぶりに『ゴーマニズム宣言』を復活連載することが、昨日発表された。小林氏と『週刊SPA!』には深
からぬ因縁があったはずだが、実は今をさかのぼること3年前。2015年6月9日号で、小林氏は16年ぶりに『週刊SPA!』に登場している。来週
、4月3日に『ゴーマニズム宣言』が復活すること
を記念し、当時のインタビューを加筆修正し、前後編に分けてお届けする!

「さらばだ わしは『SPA!』を去る」――。

’95年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』(以降、『ゴー宣』)を連載し、絶大な人気を博していた小林よしのり氏は、こう言い残してSPA!と決別した。

 ’89年に発生した坂本弁護士一家拉致事件に、後に地下鉄サリン事件を起こすオウム真理教が関与していたことを作品内で示唆。教団から
命を狙われたが、SPA!は教団幹部のインタビューを掲載し、見解が乖離した結果だった。

 その後、小林氏は『SAPIO』(小学館)に舞台を移し、連載を続行。’98年の描き下ろし『戦争論』では、大東亜戦争肯定論を展開し、世
代を超えたベストセラーを記録。左翼リベラルによる“自虐史観”が支配的だった当時の空気を一変させた。同時に、自身のスタンスもSPA
!時代の“サヨク”(注1)から保守へと大きく舵を切った。以降の小林氏は靖国問題や皇位継承問題など、さまざまなテーマに挑み、今に至る。

 そんな小林氏が三下り半を叩きつけたSPA!に16年ぶり(2015年当時/注2)に登場してくれた。

思想の“変遷”をどう解説してくれるのか?

「あのときの怒りは……まったく忘れましたよ。20年も前のことを延々と粘着してもしょうがない。当時は、血気盛
んだったから斬りかかる勢いで論争を挑んだし、だからこそ、それを描いた漫画も面白かった。わしが穏やかだった
ら、面白くないでしょ(笑)。そんな昔のことよりも今、腹が立つことがほかにいくらでもあるしね」

 小林氏が『ゴー宣』以前に手掛けた大ヒット作品『東大一直線』『おぼっちゃまくん』はいずれもギャグ漫画だが
、実は前者の隠れたテーマは学歴社会、後者は拝金主義への批判だった。彼は常に世の中に怒っており、それが結実したのが『ゴー宣』と言っていい。

「腹が立つ……怒りがわしの創作意欲に火をつけるわけです。沖縄の米軍基地や安保法制の問題は、今、一番怒っ
ていること。このままいけば、日本はアメリカの属国化への道をひた走ることになる。だから、イラク戦争以来、
わしがずっとケンカしている親米保守が、もっとも腹が立つ存在なんです」

 折しも(2015年)5月14日、安倍内閣は安全保障関連の11法案を閣議決定。“平和法案”と称するが、成立すれば
集団的自衛権の名の下に自衛隊の海外での活動が可能になる。保守論客がこぞって賛意を表明するなか、意外かも
しれないが、小林氏は明確に反対している。それはSPA!時代に自ら吐露し
た「戦後民主主義にどっぷりつかったサヨク」傾向の残滓にも、左翼への“転向”にすらも映るが……。