入試ミス6人処分 外部指摘、対応ルールなし 検証結果公表
大阪大の昨年の一般入試の物理で出題ミスがあり、今年に入って30人を追加合格とした問題で、阪大は23日、
「関係した教員の問題だけではなく、組織としてのルールがなかったことに大きな原因がある」とする検証結果を
公表した。外部からミスの可能性を指摘された際に適切に対応しなかったとして、問題作成の責任者だった
教授ら3人を訓告とするなど計6人を処分した。【池田知広、鳥井真平】
外部の有識者を交えた検証委員会がまとめた。報告書によると、阪大側には昨年6、8、12月の計3回にわたって
外部からミスを疑う指摘があった。しかし、問題作成の責任者と副責任者だった50代の教授2人は大学への報告を
怠り、作問に携わった他の教員と協議せずに回答した。2人は「自分たちは間違っていないという自信があった。
みな同じような考え方だと思い、情報共有しなかった」と話しているという。
8月と12月の指摘はメールで入試課に届いたが、同課の40代の職員は、教授2人に転送しただけで、上司に
伝えなかった。外部から指摘を受けた際の対応についての規則はなく、検証委は「学内外の指摘について多くの
関係者が共有するルール作りが求められる」と結論づけた。
阪大は問題発覚後、入試の出題内容に関する指摘を一元的に集約する組織を設置している。阪大は過去に
入試問題作成に携わった経験のある教員を「アドバイザー」に指名する制度を新たに設けることを明らかにした。
小林傳司副学長は「これまで機密性の確保に偏っていた。多面的な視点を導入することが必要」と話した。
大阪大入試ミスの経緯
<2017年>
2月25日 一般入試(前期日程)
3月 9日 合格発表
6月10日 入試問題検討会で物理の問題に疑問が指摘される
8月 9日 予備校講師による指摘
12月 4日 外部から再び別の指摘
19日 再検討し、ミスが判明
27日 再び合否判定を開始
<2018年>
1月 6日 30人の追加合格を決定
12日 学長ら常勤役員10人の報酬を自主返納すると発表
原因などを調べる検証委員会を設置
3月23日 検証結果と再発防止策などを公表
問題作成責任者の教授ら計6人を処分
https://mainichi.jp/articles/20180324/ddn/012/100/030000c