中高年から高齢になると社会的に孤立している人よりも、付き合いのある友人が多い人ほど2型糖尿病になりにくい可能性があることが、オランダで行われた新たな研究で報告された。
「BMC Public Health」2017年12月19日オンライン版に掲載された論文の著者らは、社会的なネットワークを広げて孤立を防ぐことは、2型糖尿病の予防策の一つになると強調している。
この研究は、オランダに在住する40〜75歳の男女を対象とした観察研究(Maastricht Study)に参加した2861人のデータを解析したもので、
交友関係の広さや社会的な交流への参加頻度と糖尿病リスクとの関係を調べた。参加者の平均年齢は60歳、半数は女性であり、56.7%は血糖値が正常で、
15%は糖尿病前症、28.3%は2型糖尿病患者(既往例が24.4%、新規診断例が3.9%)であった。
解析の結果、付き合いのある知り合いが多い方が、少ない人よりも2型糖尿病の発症リスクが低かった。こうした知り合いが1人減るごとに、
男女で糖尿病リスクは5〜12%高まっていた。
また、女性では独居であるかどうかは糖尿病リスクに影響しなかったが、男性では一人暮らしをする人で糖尿病リスクが94%高まっていた。
研究を主導したマーストリヒト大学のStephanie Brinkhues 氏は「社会的ネットワークはその範囲が広いほど、個人のライフスタイルに重要な影響を与えるようになる。
ネットワークが広いということは、必要な時に社会的支援を受けやすく、自宅の外に出る機会が多いことを意味する。
こうした活動は健康的な食習慣や運動習慣を促し、ライフスタイルに改善をもたらす」と述べており、
社会的なネットワークを広げることは運動不足や肥満を主たる原因とする2型糖尿病を予防するのに重要なステップになると強調している。
また、1人暮らしの男性で2型糖尿病リスクが高かった理由について、論文の責任著者を務める同大学准教授のMiranda Schram氏は「男性は一人になると、
女性よりも自分自身の事に無頓着になり、新鮮な野菜や果物を食べなくなったり、運動をしなくなるなど不健康な生活習慣に陥りやすくなると考えられる」と指摘する。
そのため、2型糖尿病のリスクが高い人には、新しい友人を作って交流したり、ボランティアや趣味の集まりに積極的に参加することが勧められるとしている。
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20180112/med/00m/010/005000c