【東京】2016年4月の米軍属女性暴行殺人事件で、那覇地裁から遺族への損害賠償を命じられた元海兵隊員で事件当時軍属のケネス・フランクリン・シンザト(旧姓ガドソン)被告について、
支払い能力がない場合に日米地位協定に定められている補償の肩代わりを米政府が米軍の「被用者」ではないとして拒否していることが16日、分かった。
日米双方は被告が被用者に当たるか協議中だ。
協定上の補償対象は軍属ではなく被用者となっており、米軍の直接雇用にない軍属が補償対象外となる協定の不備が露呈した。
被告は殺人罪などに問われて昨年12月に無期懲役の判決を受け、控訴した。
遺族側が損害賠償命令制度に基づく賠償命令を申し立て、那覇地裁は請求額のほぼ全額を認め、賠償金の支払いを命じる決定をした。
遺族側は日米地位協定18条6項に基づき、来週中にも沖縄防衛局に認定された損害賠償額を補償金として請求書を提出する予定だ。
日米地位協定では、米軍関係者の公務外の事件、事故などによる賠償請求で、被害者側は米政府に賠償金を請求できる。
協定で補償対象は「合衆国軍隊の構成員または被用者」と規定しており、被告は米軍と契約する民間会社に雇用された軍属で、米側は対象にはならないと主張している。
米側が補償対象とした場合、日本側が補償金を補填する「SACO見舞金」が適用される。
防衛省によると、これまでSACO見舞金が支払われたのは13件、総額4億2800万円。
だが、米側が補償対象としなければ対象にならず、支払われなかったケースもある。
被害者の遺族側代理人は「遺族は苦しんでいる。補償されないことは問題だ」と指摘し
「遺族側としては日米両政府に補償を求めていく。きちんと対応してほしい」と話した。
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