意図的に不純物を含ませ、特殊な量子力学的特性をもつ「合成ダイヤモンド」が活用され始めている。
量子物理学だけでなく、センシングや神経科学への応用も期待されるダイヤモンドは、いかにつくられているのか。
その可能性についても紹介する。

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2000年代半ば、物理学においてダイヤモンドが新たに注目を集めたことがあった。
その理由は、宝石としての大きさや色、輝きではない。
これらのダイヤモンドは必ずしも美しいものではなかった。
研究者たちが数ミリメートル四方の平らな正方形にカットし、ガラスの薄い破片のようなものにして、
レーザー光を透過させるためのものだからだ。

このような研究目的で使われるダイヤモンドとして最も価値のあったのは、ウラル山脈で採掘された
小粒のダイヤモンドだった。「わたしたちはそれを『ロシアの魔法のサンプル』と呼んでいました」
と、ワシントン大学で物理学を教えるカイ=メイ・フー准教授は語る。

このダイヤモンドは極めて純粋だが(ほとんどすべてが炭素というのは、物が混在するこの世界では珍しいことだ)、
わずかに含まれる不純物によって不思議な量子力学的特性をもつようになったものだ。
「複数の研究者グループがそれを小さく切り刻んで分け合っていました」というフー准教授自身も、
そのひとつを使って研究したという。

「ノミを使って削り取るのです。それほど多くは必要ありません」。
その特性は有望なものだったが、研究に使えるダイヤモンドは数が限られていたので、
それほど多くの実験をすることはできなかった。

https://wired.jp/2018/03/10/perfectly-imperfect-diamonds/