企業の「働き方改革」が叫ばれる昨今、「限られた時間の中で最大の成果を上げる」ことは、企業だけでなく従業員にも突き付けられている課題だ。
ただ、これは仕事の話に限定した課題ではない。「何にどれだけ時間を使うか」ということは、
究極的には「私たちがどう生きるか」ということと同じだからだ。
時間術に関しては、古くからさまざまなノウハウが共有されてきた。世界的ベストセラー『7つの習慣(R)』で紹介された「時間管理マトリクス」は、最も有名なノウハウの一つだろう。
「時間管理マトリクス」では、あらゆるタスクを「緊急度」×「重要度」それぞれの「高低」で、4つの種類に分類する。
「緊急度は低いが、重要度の高いタスク(第II領域)」に優先的に時間を割くことで、タスクの総量を減らし、時間を有効活用するという画期的なものであった。
ただし、これにはひとつだけ盲点がある。そもそも多くの人は、「重要度」を正しく見極めるための判断基準を持っていないという点である。
「重要度」を正しく判断できなければ、このノウハウは単なる小手先のテクニックとなり、生産性向上は絵に描いた餅に終わってしまう。
■「パッション」と「ミッション」を自覚すれば、「重要度」が明確になる
『仕事ができる人の最高の時間術』(田路カズヤ著、明日香出版社刊)は、時間の使い方を決める前に、
まず自分の「パッション(自分が情熱を持てること)」と「ミッション(自分が使命感を持って取り組めること)」を自覚するべきだとしている点で、時間術を扱う多くの本とは一線を画す。
このことによって、やるべきことの優先順位が明確になる。自分の「パッション」と「ミッション」に沿うものは「重要」だと即決できるので、
「やらなくていいこと」や「付き合わなくていい人」を決断することができるのだ。
■「戦略」と「戦術」を洗い出せば、「重要度」が明確になる
ただ、ビジネスにおいて、自分の「パッション」と「ミッション」に沿うものだけに集中することは現実的には難しい。
そこで、効率的かつ効果的な「戦略」と「戦術」が必要になる。本書では、「戦略」を「資源分配の方針(What to do)」、「戦術」を「資源分配の方法(How to do)」と定義している。
一旦、数多くの「戦略」「戦術」を描いた上で、重要な「戦略」「戦術」だけに絞り込み、集中して遂行することが重要だ。
それさえできれば、「そもそもやらなくてもいい仕事」や「やるべきだが、自分でなくてもいい仕事」を自分のタスクから排除することができる。
「戦略」「戦術」を見直すということは、「時間の投資先」を見直すということだ。自分にとっての「重要度」のモノサシを持つことで、
ROT(時間生産性)は飛躍的に高まるだろう。
ニュースサイトで読む: http://biz-journal.jp/2018/03/post_22600.html
Copyright © Business Journal All Rights Reserved.