■生産
任天堂はある作品が大ヒットしたからといって増産することはなかった。
表向きは、ファミコンのROMカセットは生産を決めてから出荷までにかなりの時間がかかるため、
2次出荷のころには賞味期限切れになっているからという建前である。
つまり初心会が発売前に受注した数量が総生産数・総出荷数となり、任天堂が抱える不良在庫は
ゼロという素晴らしいビジネスモデルである。

この生産システムにはもうひとつ裏の顔があり、 小売店は展示会に集められ品定めをするわけだが、
出荷前どころか生産前、つまりまだ開発段階のものを参考にするしかないわけである。
そう、競馬でいうパドックである。
そして直感で発注する。
たとえば「100万本発注」し、それが大ヒットとなれば莫大な利益をもたらし脳汁ドバドバ、
大爆死すればワゴンセールの末に担当者は地下帝国行きである。

つまり任天堂は御大尽たちに花札にかわる新たなるギャンブルを提供したのである。
小売店も一度脳汁ドバドバを体験してしまうとズルズルこの深みにハマっていった。

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