太古の昔、ネアンデルタール人はホモサピエンスと混血し、我々のゲノムにはその痕跡が残っている。最近、ネアンデルタール人のゲノムが新たに解析され
現代人のゲノムとの比較が行われた。それによると、喫煙習慣や睡眠パターン、感情に関わる遺伝子などに、新たにネアンデルタール人の痕跡が残っていることがわかった。英紙「Daily Mail」などが報じている。
■ネアンデルタール人から人類へ
今回新たに解析されたのは、東ヨーロッパのバルカン半島に位置するクロアチアのヴィンディア洞窟で発見されたネアンデルタール人の化石である。
このネアンデルタール人は女性で、5万2千年ほど前に生きていた。これまでにもネアンデルタール人のゲノムは解読されているが、
今回のデータはこれまでで最も質が高く、2ペアの染色体を識別できるほどの精度で解析できたのだという。論文は今月5日にサイエンスに掲載された。
論文ではこのネアンデルタール人ゲノムを現代人のゲノムを比較している。すると、ネアンデルタール人由来の遺伝子として、
髪の毛や瞳の色、肌の色合い、日焼けのしやすさなどに加え、朝方か夜型といった睡眠パターン、気分の浮き沈み、
ニコチン中毒に関わる遺伝子が同定されたという。また、血中コレステロール濃度や統合失調症、関節炎などに関連する遺伝子も含まれていたという。
■ネアンデルタール人がくれたもの
とはいえ、この結果をもってさまざまな病気や喫煙習慣、気分の浮き沈みの激しさなどを祖先のネアンデルタール人のせいにして責めてはいけない。
ネアンデルタール人の遺伝子は初期の人類が新しい環境に適応するための手助けだけでなく、疾病予防の働きをしてくれたこともわかってきた。
例えば、今回の解析でネアンデルタール人から現代人へと受け継がれたとされる遺伝子の中には、動脈硬化を防ぐようなものも見つかっているのだ。
今回見つかったネアンデルタール人由来の遺伝子がつかさどる部分、つまり肌の色、髪の色、日焼けのしやすさ、
睡眠パターンなどは全て日光と関係している。ネアンデルタール人はおよそ56万年前にはアフリカからヨーロッパに進出していたが
、人類がアフリカを出たのはおよそ10〜15万年前のこと。ネアンデルタール人は出アフリカの大先輩である。すでにヨーロッパ・アジアに適応していた彼らの遺伝子は
、我々の祖先にとって大いに助けになったのは間違いない。
http://tocana.jp/2017/10/post_14748_entry_2.html