化学メーカー大手の宇部興産は23日、グループ会社の宇部丸善ポリエチレン(UMP、東京・港)が一部製品について、顧客と取り決めた品質検査を行わずに出荷していたと発表した。
1990年代から不正が続いていた。
原因の詳細な調査や再発防止策は3月末をめどに発表する。
素材産業では17年に神戸製鋼所で品質不正問題が発覚して以降、不正の連鎖が続いている。
宇部興産の山本謙社長は23日、東京都内で記者会見を開き、「内部統制の脆弱性があり、倫理観が非常に不十分だった」と謝罪した。
主に電気や通信のケーブルを覆う材料となる汎用樹脂の「低密度ポリエチレン製品」の検査で不正があった。売上高ではUMPの全体(16年度、250億円)の7%にあたる。
全部で75項目ある品質検査のうち、強度など16項目を実施せず、過去のデータを使い回していた。出荷先の企業は合計50社。
詳細は調査中だが、不正を知っていたのは「当該製品を担当する部署のメンバーとそれを管理する直属の上司ら」(山本社長)。
「狭い範囲で自己完結的に不正が続いていた。外からの目が行き届かなかった」という。
不正は17年12月11日に発覚し、内部調査を経て、12月25日に概要を把握した。
「今年1月中旬から納入先の顧客に説明をしてきたため、発表までに時間がかかった。品質には問題がないことを確認し、これをもって公表した」(山本社長)。
現時点で法令違反や品質に問題点はないという。
弁護士らを交えた調査委員会が不正の原因や再発防止策を検証し、3月末をめどに結果を発表する。
山本社長は「不適切な状況を是正できなかったことは経営者の責任。二度と起こらないよう再発防止策を行うことが私の責務だ」と述べた。
不正が明らかになった低密度ポリエチレンは、年間の出荷量が約1万3千トン。
宇部丸善ポリエチレンが販売し、宇部興産が千葉県に持つ工場が生産を請け負っている。UMPは宇部興産と、丸善石油化学が50%ずつ出資する。
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