F:以前のインタビューで伺った、ご自宅の郵便受けに「デミオ30万円引き!」
なんていう屈辱のチラシが入っていたという話もその昔にはあった……。
藤:そうそう。起きて新聞を取りに行ったら、郵便受けに「デミオ88万8000円から」
なんて書いたチラシが入っている。もう破り捨てようと思いましたけど(苦笑)。
マイトのY:あの回の藤原さんのお話はとても印象に残っています。
藤:ああいうムチャな値引きは、自ら残存価値を落とす行為に他ならないんです。
あれをやめようというのが2012年からやり始めたことです。しばらくは苦しいけれど、
とにかく頑張ってずっと続けていこうと。そうすれば、いつか必ず良い循環になると。
良い価格で回り始めたら、きっとお客様も分かってくださると。そういう思いで
続けてきたので。
フェルさんがさっき言ったCX-5。あれは確かに値段が落ちなかった。多くのお客さんが、
3年も経たないうちに買い替えてくださった。下取り価格がポーンと高かったので……。
F:下取りが高いから、次のクルマも気持ちよく買えちゃう。
藤:そうそう。ポーンと高く売れるから、次のもポーンと買えちゃう(笑)。
マンちゃん:CX-5は、特にディーゼルが高く売れました。あれは本当に価格が
落ちなかったですね。
藤:あれだけのトルクがある、2.2Lで最大トルク420ニュートンなんていうSUVは
他になかったですからね。それはもう中古も引っ張りだこでした。中古車買い取り
の会社に持っていったら、もう右から左にポーンと(笑)。店頭でも、すぐに
「売約済み」が貼られていましたもの。
F:あ、中古車の流れもウォッチされているんですね。
藤:はい。中古車店の店員さんが自分で買っちゃったとか、そんな話も聞きました
(笑)。「おいおい買うなよ、ちゃんと店に並べろよ」みたいな(笑)。
F:するとマツダ地獄という負のスパイラルを止めたのは、CX-5と見ることもできる。
藤:そうですね。時期的にはそうです。そして今で言うなら、アテンザが非常にいい
値段で買い取って貰えています。そういう流れが見えているお客さんは、早めに手放し
て次の新しいクルマを買うんです。すると、1個上のグレードに上がることができる。