(社説)名護市長選 民意は一様ではない


米軍普天間飛行場の移設先、沖縄県名護市の市長選で、安倍政権の全面支援を受けた新顔が、
移設反対を訴えた現職を破り初当選した。

ただ、政権側が「これで移設が容認された」と考えるなら、単純すぎる。
 渡具知氏は選挙中、移設問題について「国と県の裁判を見守る」としか語っていない。
代わりに強調したのは経済振興であり、政権側も交付金をちらつかせて後押しした。

沖縄では県民の理解が得られなくても新たな基地を造るのか。それこそ差別ではないのか。

首相はまた、ことあるごとに「最高裁の判決に従って(工事を)進めていきたい」と語る。
だが最高裁判決はあくまで、前知事による埋め立て承認を、翁長知事が取り消した処分を
違法と判断したものだ。
最高裁が辺野古移設を推進していると受け止められるような物言いは、明らかなミスリードだ。

基地移転という国策をめぐって民意が引き裂かれる。
その重荷を取り除く責任は政権にある。

https://www.asahi.com/articles/DA3S13346253.html