富士フイルムホールディングス(HD)は31日、事務機大手の米ゼロックスを買収すると発表した。
まずゼロックスが富士フイルムHD傘下の富士ゼロックスを完全子会社化し、その後、新生ゼロックスの過半の株式を取得する。
事務機事業のグローバル展開を加速する狙い。
だが、これまでは複合機に依存した事業構造からの転換を掲げ医療分野を軸に多角化を進めてきた。
成熟製品である複合機を抱え込み収益力を強化するには課題もある。
「世界最大規模のドキュメントカンパニーになる」「真の一体経営で世界展開が可能」――。
富士フイルムの古森重隆会長兼最高経営責任者(CEO)はゼロックス買収の狙いについてこう強気の発言を繰り返した。
古森会長にとって日米ゼロックスの統合は「長年の悲願」だった。米ゼロックスとは1962年に折半出資で
富士ゼロックスを設立。現在は富士ゼロックスが日本を含むアジア太平洋、米ゼロックスが欧米を中心に事業を展開。
2社を統合すれば、「世界の巨人」として成長戦略を加速することも可能になる。
古森会長は2017年8月の中期経営計画を発表する記者会見で今後も経営トップとしてとどまる意向を表明、取り組むべき
重要な課題として「ゼロックス」を挙げていた。不適切会計問題を起こした富士ゼロックスのガバナンスの強化だけでなく、
複合機事業の立て直しが必要との思いだろう。今回の買収がゼロックスの将来を確かにする強力な一手となる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26376820R30C18A1X13000/