「韓国経済は高品質」IMFが賛辞 それでも消えない世界トップ10脱落の不安
同誌チーフエコノミストのサイモン・バプティスト氏は、「(韓国は)これから人口が減り、成長動力を期待するのが難しくなる」と指摘。33年後には国内総生産(GDP)でインドネシア、メキシコに抜かれていると予測する。
人口増はすぐに実現できるものではなく、代替策となるのが南北統一だ。「韓国が発展したやり方を北朝鮮にも導入すれば、長期的には(経済成長の)機会になるかもしれない」とバプティスト氏は指摘する。
しかし、統一は困難どころか、短期的には非現実的でさえある。このため同氏は、海外直接投資の誘致拡大、規制緩和、租税改革で成長力維持を目指すべきだとした。
「成長停滞の泥沼に陥る」との表現で現在の経済政策に警鐘を鳴らすのは、中央日報が電子版に掲載した韓国経済新聞の記事だ。
非正規社員の正社員化推進、法人税と最低賃金の引き上げといった文在寅政権の施策は「企業の経営費用を拡大する」と分析。「成長率を高めるには否定的(な政策)だ」とする有識者の見方を紹介した。
中でも8月に導入された「8・2不動産対策」は短期的な副作用が強く懸念されている。国民の幅広い層がマイホームを持てるように、と住宅価格の高騰を防ぐために不動産への投機を制限する施策で、李明博政権、朴槿恵政権が緩和してきた規制を再び強化した。
直撃を受けるのが、輸出とともに「成長の大きな軸」とされる建設投資。4月の増加率は34・2%だったが、7月は30・8%減と低迷しており、韓国の現代経済研究院は今後について「建設景気急冷の可能性を排除することはできない」と指摘する。
停滞感が漂う中、消費者心理は冷え込んでいる。8月の消費者心理指数を構成する項目である、生活状況▽生活見通し▽現状の景気判断▽今後の景気見通し−はいずれも7月から悪化。政府は消費刺激のため、10月2日を臨時休日としたが、朝鮮日報(日本語電子版)は「効果は未知数」と懐疑的だ。
そんな中でも頼りになるのは輸出。東亜日報(同)によると、8月の韓国の半導体輸出総額は87億ドルと月間で史上最高だった。11カ月連続の増加で、同国産業通商資源部はメモリー半導体の価格上昇や新型スマートフォン向けの供給増などが要因だとしている。
それでも、韓国の4〜6月期の実質国民総所得(GNI)は前期比0・6%減となった。中央銀行の韓国銀行は、国際的な企業の配当の多くが海外に渡ったのが原因の1つとみている。
実際、サムスン電子は5月に1兆1000億ウォンの配当で投資家に利益を還元したが、株式の50%超は外国人投資家が握っている。世界市場で稼ぐ韓国企業だが、儲けも世界に流出しているのだ。
http://www.sankei.com/west/news/170925/wst1709250001-n1.html
サムスン、17年12月期営業益83%増 売上高は19%増
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL09HMJ_Z00C18A1000000/