南米ペルーの大統領府は24日、在任中の人権侵害事件で服役していたフジモリ元大統領(79)に
人道的恩赦を与えると発表した。クチンスキ大統領が恩赦を認める文書に署名した。
フジモリ氏は約10年間、首都リマ郊外の警察施設に収監されていたが、近く釈放されることになる。
フジモリ氏は多くの持病を抱えており、23日には血圧低下などにより警察施設から市内の病院へ移送
されていた。表立った政治活動をする可能性は低いが、根強い支持層は健在で、今後の同国政治に一定の
影響力を発揮するとみられる。
フジモリ氏の長女でフジモリ派野党「フエルサ・ポプラル」の党首、ケイコ氏は「素晴らしいクリスマスだ」、
次男のケンジ議員も「クチンスキ大統領ありがとう」などとそれぞれツイッターに投稿した。
フジモリ氏は、左翼ゲリラと間違えられた市民らが軍に殺害された事件などで、2010年に禁錮25年が
確定して服役していた。数々の持病で入退院を繰り返してきたが、政権末期の独裁化や人権侵害をめぐって
国民の反発が根強く、歴代大統領は恩赦を認めてこなかった。
クチンスキ氏は24日朝から全閣僚や与党議員を集めるなどして恩赦について検討していたという。
汚職疑惑が浮上したクチンスキ氏の罷免決議案が今月21日に議会で否決されたが、クチンスキ氏側は、
決議案を提出した議会多数派の「フエルサ・ポプラル」の切り崩しのためにケンジ議員らに恩赦を約束した
などと伝えられていた。
http://www.sankei.com/world/news/171225/wor1712250022-n2.html