【ネタバレあり】『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』には多様性にまつわるメッセージが潜んでいる
https://wired.jp/2017/12/22/last-jedi-inclusion/
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は、旧三部作を再び「覚醒」させたのではなく、スター・ウォーズを書き換えようとしている。
そうした試みは「多様性(インクルージョン)」にまつわるメッセージが込められている点からも見てとれる。性別から人種、権力、古いシステムに至るまで、隠されたメッセージを読み解いた。
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』には、若いアジア系の女性が登場する。彼女がレジスタンスを助けるために勇敢かつ献身的な行動に出る場面は、いかにもスター・ウォーズの英雄らしい行為でとても素敵だ(これから観る人のためにあまり言いすぎないようにしておこう)。だが、同時に別の意味でも重要なシーンである。
『ロサンゼルス・タイムズ』で映画評を担当するジェン・ヤマトは、白人以外のファンにとって大きな意味があるとして、Twitterで「こうした作品はあらゆる世代に影響を与える。映画表現って大切だから」と発言した。
ところがこれに対して、「何でもかんでも人種問題に結びつけるのはやめてくれ」というリツイートが相次いだ。
彼女の反応は「皆さん全員がスター・ウォーズの新作を楽しんでくれますように」というものだったが、そこに「どうせ無理よね」という含みをもたせているのは明らかだ。
『最後のジェダイ』は、保守派を満足させるための作品ではない。
ここで言う“保守派”には2種類ある。まず、シリーズのヒーローにはいまや(ここには息をのむ効果音を入れて欲しい)女性や非白人も含まれるという事実に動揺しているファン。
そして、女性蔑視や人種、階級などの差別主義者、ダークサイドに落ちた大衆だ。
こうした人々は常に世の中に存在し、これまでにもいろいろなかたちで影響力を行使してきた。
『最後のジェダイ』では、単一の支配は誰にとってもよくないという主張が何度も繰り返される。この作品のテーマは「銀河を再び偉大な場所にする(メイク・ギャラクシー・グレイト・アゲイン)」ことではない。映画は銀河を修復したいと考える人たちの物語なのだ。
このテーマは大小さまざまなかたちで現れる。
例えば、J.J.エイブラムス監督の『フォースの覚醒』で興奮(に加え、「オンナなんか入ってくるなよ」という男性ファンの呻き声と歯ぎしり)をもって迎えられたヒロイン、レイ(デイジー・リドリー)の存在がある。
フォースの使い手である彼女は本作ではさらに活躍し、ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)と知恵比べをしたり、胸があっても問題なくライトセーバーを使えることを証明したりしてみせた。
それから、ハン・ソロとレイア・オーガナの息子だが、父親の魅力も母親の思いやりの心も受け継がなかったカイロ・レン(アダム・ドライヴァー)がいる。家を飛び出す積極さをもち合わせていなかったら、あらゆる意味でネットでいじられること間違いなしの人物だ。
『最後のジェダイ』では、その害悪でしかない無駄なマッチョさが暴走しており、自分が父と仰ぐ最高指導者スノークからは「マスクをした子どもに過ぎない」とけなされ、女の子(レイのことだ)に負けたと責められている。